皆さんは「ビタミンAを摂ると胎児が奇形になるから、摂取を控えた方が良い」という話を聞いたことはあるでしょうか。
これは正しくもあり、間違いでもあります。
どんな栄養素であっても摂りすぎれば赤ちゃん、およびお母さんの健康リスクにつながりますが、逆に意識しすぎて摂らないでいると、悪影響があるという意味で結果は同じとなってしまいます。
正しい知識できちんと栄養を摂取し、赤ちゃんの健康を守ってあげましょう。
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ビタミンAが胎児の奇形を引き起こす?
まず、ビタミンAが胎児の奇形の原因になるという話ですが、もう少し掘り下げて見ていく必要があるでしょう。
ビタミンAは粘膜や細胞壁を強化し、遺伝子情報を制御、感染症への抵抗力を高めるなど人体にとって非常に重要な役割を果たします。ビタミンAの欠乏による疾患として有名なのが、夜盲症(暗がりで目が利かなくなる)ですね。
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの違い
ビタミンAと一口に言っても脂溶性/水溶性の二種類があり、それぞれに性質が違います。
・脂溶性
水に溶けず、油に溶ける性質を持つビタミンで、動物性の食品に含まれる。
過剰摂取で胎児の催奇性が3.5倍になるとされるのが、このタイプのビタミンA。レチノールとも呼ばれる。
・水溶性
野菜など植物性のビタミンで、ビタミンAの場合=ベータカロテン(ビタミンAの前駆体)とも呼ばれる。
ビタミンAとして体が使用するより多く摂った分は基本的には蓄積せず、尿として体外に排出される。
また、脂溶性、水溶性問わずビタミンAの過剰症には肝機能障害や下痢、嘔吐、骨粗しょう症、関節痛、食欲不振などが見られるほか、妊婦の場合は流産の原因にもなり得ます。
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ビタミンAは通常の食生活では過剰摂取に陥ることはほぼ考えられませんが、レチノールの場合大量に摂るのが比較的簡単なため、特に妊娠中の女性は注意が必要です。
脂溶性ビタミンAが多い食品
脂溶性ビタミンAはウナギや鶏・豚などのレバーに多く含まれ、例えばうなぎ1人前で軽く1日の摂取上限をオーバーしてしまいます。
ただそれらの食品を毎日摂取しているという場合を除いては、それほど心配する必要はありません。
また水溶性のビタミンAであるベータカロテンに関しても、体が必要な分だけをビタミンAに変換して使用するようになっていますから、過剰摂取になる心配はないうえ、ベータカロテンを摂りすぎたことによる胎児の奇形はまったく報告されていないため、安心して良いでしょう。
ビタミンAはどのくらい摂っても大丈夫?
ビタミンAの耐容上限量は、以下の表の通りとなっています。
出典:厚生労働省
これはうなぎのかば焼きなら50g、鶏などのレバーならおよそ5g程度と、ほんの少しで簡単にオーバーするほどの量です。ですが先述のとおり、毎日大量に食べているわけでなければ、ほんの数日程度オーバーしたくらいでは影響が出ることはありません。
さらに産後の授乳期に入った女性はビタミンAを多めに摂取することが推奨されていますから、心に留めておきましょう。
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葉酸サプリに含まれるビタミンAは心配なし!
葉酸サプリにビタミンAが入っているケースの多くが、野菜成分に含まれるビタミンA=ベータカロテンですから、過剰摂取に陥ったり、赤ちゃんが奇形になってしまう心配はないでしょう。
商品によってはきちんとホームページやボトル裏に明記してあるものもありますから、気になる場合はチェックしてみることをおすすめします。
また葉酸サプリにビタミンAが含まれているからと、食事から野菜を除いたり敢えて摂らないようにしたりするのはおすすめできません。
葉酸サプリはあくまで食事から摂るのが難しい分の栄養素を「補う」ためのものであり、またその分も計算された上でのサプリ含有量ですから、栄養バランスの取れた通常の食事にプラスしてサプリを飲む、というのがベストなのです。
ビタミンAを摂らないと逆に奇形の原因に
最近ではビタミンAの過剰摂取による奇形の心配ばかりがされていますが、逆に「ビタミンAの欠乏による胎児の奇形」も報告されています。
また感染症にかかりやすくなったり、出生後の健康障害なども起こる可能性が指摘されており、むしろビタミンAを避けることのリスクを示唆していると言えるでしょう。
ビタミンAを摂りすぎてしまったら?!
もし知らずにウナギやレバーなど大量に食べてしまった!という場合でも、気付いた時点で気を付ければ大丈夫です。
しつこいようですがそもそも多少の過剰摂取で赤ちゃんが奇形になってしまうことはなく、通常では考えられないくらい長期間同じものを大量に食べ続けたり、ビタミンAサプリを飲み続けていたりしない限りは、悪影響が出ることはないのです。
それよりも奇形を心配しすぎて食事を楽しめなかったり、必要以上に制限してしまうことの方が赤ちゃんの健康にとっては問題です。
普通に栄養バランスを気にした食生活を心掛けつつ食事を楽しみ、かつ葉酸サプリできちんと不足分を補うことがもっとも重要なのです。
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